日本呼吸器外科学会雑誌
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巨大な肺腫瘤陰影を呈した若年性肺炎症性筋線維芽細胞腫(inflammatory myofibroblastic tumor)の一例
加洲 保明梶原 伸介杉下 博基
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2006 年 20 巻 4 号 p. 631-634

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抄録
肺のまれな非腫瘍性の炎症性筋線維芽細胞腫は,組織学的には良性とされるが臨床的に局所再発することがあるためlow grade malignancyと考え,手術的に完全切除することが重要である.症例は11歳女児.主訴は血痰.X-P,CT,MRIにて右中葉に60×60mm大の巨大な腫瘤を認めた.気管支鏡で気管支浸潤を認めた.手術は右開胸・中葉切除を行った.摘出標本では,腫瘤は大きさ70×60×60mm,重さ135gで,被膜に覆われていた.一部で気管支浸潤を認めたが気管支断端は陰性であった.病理所見は,spindle cellが主体のinflammatory myofibroblastic tumorで,組織球が陽性であった.術後経過は良好であった.炎症性筋線維芽細胞腫は,一般に術前の診断が難しいこともあり,手術に際しては腫瘤の完全切除が大切である.また,長期間の局所再発の可能性があるため慎重なフォローアップが重要である.
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