20 巻 (2006) 5 号 p. 719-723
2003年7月から2005年6月までの2年間に当院で外科的切除を行った原発性肺癌62例に対し,重複癌の有無,臨床的背景,病理所見等を検討した.重複癌症例は24例(38.7%)存在し,平均年齢は66.6歳であった.内訳は異時性重複癌16例,同時性重複癌8例.二重癌19例,三重癌3例,四重癌2例.重複癌の臓器は,胃10病巣,大腸8病巣,乳房5病巣,肺3病巣,食道,腎臓,肝臓,舌,前立腺各1病巣であった.肺癌の発見方法では重複癌症例の22例(91.7%),非重複癌症例の31例(81.6%)が無症状での画像検査による発見であった.肺癌腫瘍径に差は認めなかったが,重複癌症例では全例リンパ節転移陰性であったのに対し,非重複癌症例にはリンパ節転移陽性が9例(23.7%)存在した(p<0.05).また1994~2003年の10年間に当院で胃癌切除を受けた1640例の術後調査において,2003年7月からの2年間で9例の肺癌罹患が確認された.これは全国肺癌罹患集計値をもとに算出した推測数6.53人よりも多く,胃癌切除既往患者は一般人よりも肺癌に罹患しやすい可能性が示唆されたが,今後全国規模での疫学調査よる検討が必要である.