2006 年 20 巻 7 号 p. 914-918
症例は38歳,男性.じん肺検診で,胸部CT上左肺S8に約1cm大の結節影を認めた.CTで腫瘤の辺縁は比較的明瞭で周囲に淡い浸潤影を伴っていた.喀痰細胞診,CTガイド下穿刺細胞診では悪性の所見は認めなかったが,画像所見上悪性の可能性が否定できないことから,胸腔鏡下肺部分切除を施行した.胸腔鏡下では腫瘍の位置が同定できず,小開胸を追加,用手的に同定し,肺部分切除を施行した.標本を術中迅速病理診に提出し,肺梗塞疑いの所見を得たため,それ以上の胸腔内操作を追加せず手術終了とした.本症例は多血症を合併しており,肺梗塞との因果関係が推測された.肺梗塞により腫瘤影を呈したまれな症例を経験したので報告する.