2007 年 21 巻 5 号 p. 701-706
画像所見上,骨転移巣が肺原発巣に先行して出現したと考えられたまれな臨床経過を呈した1症例を経験したので報告する.症例は46歳,男性.2002年6月,早期食道腺癌にて胃全摘術が施行された.その術後経過中に徐々に,血中腫瘍マーカーCEA値の上昇を認めた.精査施行されるも明らかな異常は指摘されず,2006年1月PET検査を行った.その結果,骨および肺病変が指摘され,同年3月,確定診断目的に手術を施行した.病理組織学的に骨および肺病変はともに同様の腺癌所見を呈しており,臨床経過も踏まえ,骨転移を伴う原発性肺癌と診断された.CT等過去の検査所見を見直すと,骨病変が肺病変に2年ほど先行して認められていた.