日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
脊柱管内進展を認めた稀な後縦隔原発血管脂肪腫の1手術例
根津 賢司高橋 広松岡 欣也佐川 庸岡本 憲省日浅 浩成
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2008 年 22 巻 2 号 p. 221-225

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抄録

症例は56歳女性で,左足底部違和感,歩行困難,腰痛を主訴に当院神経内科を受診した.胸部X線検査にて左上縦隔に約6cm大の腫瘍陰影を認め,胸部CTおよびMRIにて左後縦隔傍椎体(Th3-5)領域に半球状のextrapleural sign陽性の腫瘤を認め,腫瘍は椎間孔内を通り,脊柱管内まで侵入し,腫瘍により胸髄は著明に圧排されていた(Dumbbell型).血管造影にて左第4肋間動脈より不均一な強い濃染像を認めた.手術は後側方切開,第4肋間開胸にてアプローチし,栄養血管を処理しつつ胸腔内の腫瘍を摘出後仮閉胸し,腹臥位にて椎弓切除し,硬膜外腔に存在する腫瘍を摘出した.病理診断にて血管脂肪腫と診断された.術後は痙性麻痺も消失し,リハビリにて術後2ヵ月で歩行も順調に回復し,現在術後2年で再発も認めない.縦隔原発血管脂肪腫の報告例は本例を含めこれまで3例のみであり,いずれも脊柱管内進展を認め極めて稀な症例であった.

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