日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
急速に進展した非侵襲性肺アスペルギルス症に対して肺全摘術を行った一例
倉橋 康典中島 成泰中島 大輔三崎 伯幸松本 和也住友 伸一
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2008 年 22 巻 5 号 p. 770-774

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抄録

症例は64歳男性.胸壁浸潤肺癌に対する右肺上葉切除後に,右肺尖の胸壁浸潤部に放射線照射(60Gy)を行った.照射終了6ヵ月後の胸部X線で放射線肺臓炎を認め,プレドニゾロンの内服を開始した.陰影は一時改善したが,約2ヵ月後に右肺尖部に空洞形成を認め,喀痰よりアスペルギルスを検出し入院となった.入院後,抗真菌薬の投与にても空洞外への浸潤が急速に拡大したため右残存肺全摘術を施行した.術後病理では,菌糸は空洞内のみにとどまり,肺組織への侵襲は認めず,非侵襲性肺アスペルギルス症と診断した.現在術後10ヵ月で,肺癌・アスペルギルス症ともに無再発で外来通院中である.肺アスペルギルス症の分類と抗真菌薬についての文献的考察を加えて報告する.

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