日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
壁側胸膜側から狭基性に発生し,比較的速い増大傾向を示した胸腔内胸壁型脂肪腫の1切除例
宮澤 正久吾妻 寛之
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キーワード: 胸腔内胸壁型脂肪腫
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2008 年 22 巻 5 号 p. 784-787

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抄録

症例は72歳女性.胸部X線検診で左上肺野異常影を指摘され受診,2年前の検診X線では同部に明らかな異常所見はなかった.胸部CTおよびMRI上,左胸壁に接し胸腔内に突出する40×21mmの腫瘤を認め胸壁発生の脂肪腫が疑われた.経過より脂肪肉腫を完全に否定できないため胸腔鏡下手術を施行した.術中所見にて腫瘍は壁側胸膜側から狭基性に発生し胸壁と1ヵ所および左肺上葉と1ヵ所の疎な索状癒着を認めるのみで大部分は胸腔内に遊離する形で存在しており,壁側胸膜をわずかに合併切除するかたちで胸腔鏡下の摘出は容易であった.術後病理診断では悪性所見はみられず脂肪腫の診断となった.胸腔内脂肪腫は比較的まれであり,なかでも本例は比較的速い増大傾向を示したことおよびその形態が特徴的であった.

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