日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
切除された術前未確診例の検討
—CT検診の臨床診断への影響—
沢田 茂樹小森 栄作末久 弘豊崎 良一見前 隆洋山下 素弘
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2008 年 22 巻 7 号 p. 992-996

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抄録

肺病変の組織診断は時として得ることが難しく,画像診断で肺癌を強く示唆する場合は組織診断なしに手術を行うことがある.このように組織学的に未確診であるが画像診断で肺癌を疑われ手術を受けた516例を対象に術後病理組織を検討した.また我々の地方で導入されたCT検診の術前未確診率に対する影響を検討した.1997~2005年の間に当院で肺癌もしくは肺癌疑いで1039例に手術を行った.このうち術前組織学的に未確診例が516例あった.全手術に対する術前未確診率の年次変化を見ると1999年以前は約28%であったが2000年以降は50~59%に上昇し,この時期は我々の地方でのCT検診の導入の時期と一致しCT検診により多くの小病変が発見され術前未確診率が上昇したと考えられた.未確診例中,良性の割合は平均13%であったが年を追うに従って低下傾向にあった.理由として肺小病変に対する治療方針の変化が考えられた.

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