日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
嚢胞状陰影を呈し急性炎症所見を伴った縦隔悪性リンパ腫の1例
元石 充榎堀 徹畠中 陸郎
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2009 年 23 巻 2 号 p. 195-198

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抄録

症例は36才男性.夕食後突然の心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部エコー・腹部CTでは異常を指摘されなかった.受診時体温は約38度であった.2日後症状が改善せず呼吸器科受診となった.体温は38度,血液検査上炎症所見を認め,胸部CTにて両側胸水および気管分岐部に周囲が造影される嚢胞性病変を認めた.縦隔膿瘍を疑い同日手術を行った.腫瘤は硬く,内部から白色でもろい壊死様物質を認めた.腫瘤と周囲組織とは境界不明瞭で完全摘出は不可能であり組織生検にて終了した.病理学的には大半が壊死組織であったが核異型を伴う大型リンパ球がびまん性に増殖しており,免疫染色とあわせてびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した.嚢胞状陰影を呈する悪性リンパ腫は非常にまれである.

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