日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
横隔膜異所性子宮内膜症を合併したBirt-Hogg-Dubé症候群の一例
宮坂 善和櫻庭 幹王 志明高持 一矢宮元 秀昭鈴木 健司
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2009 年 23 巻 4 号 p. 641-646

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抄録

症例は34歳,女性.既往歴として左右気胸で手術歴があった.家族歴として父方に気胸発症者が多い特徴があった.呼吸困難のため当科初診となった.胸部CTでは右肺虚脱に加えて葉間面および縦隔面から肺底部面を中心とした肺嚢胞を多数認めた.保存的経過で改善しないため,右胸腔造影施行し肺瘻部位を確認後,手術を施行した.病理所見では特異的な所見は得られなかったが,遺伝子検査で常染色体優性遺伝疾患であるBirt-Hogg-Dubé症候群と診断された.また同時に施行した横隔膜生検で異所性子宮内膜が確認された.本症例はBirt-Hogg-Dubé症候群と横隔膜異所性子宮内膜症が合併した稀な気胸症例であった.Birt-Hogg-Dubé症候群では腎癌を始めとする多臓器腫瘍合併が多く経過観察が必要である.また女性気胸はその背景に様々な病態が存在することが多く,より注意深い基礎疾患の評価が必要である.

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