日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
喀血と血胸を来し緊急手術を要した肺葉内肺分画症の1例
岡川 武日児宇佐美 範恭岡阪 敏樹川口 晃司福本 紘一横井 香平
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キーワード: 喀血, 血胸, 肺葉内肺分画症
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2011 年 25 巻 7 号 p. 723-726

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抄録

症例は34歳,男性.来院の1週間前より咳嗽が出現し,3日前より発熱が出現していた.就寝中に喀血を認めたため当院救急外来を受診した.胸部単純CTにて右肺下葉に低濃度の腫瘤性病変と液体貯留を認め,肺化膿症と診断し緊急入院とした.翌日,原因検索目的に胸部造影CTを施行したところ,胸部下行大動脈より右肺下葉に流入する異常動脈を認め,肺分画症と診断した.感染を合併し肺化膿症となった分画肺が破綻して血胸・肺内出血を来たし,気道系への吸い込みにて喀血となったと考え,緊急に右肺下葉切除を施行した.手術所見から分画肺は正常胸膜と境界がなく,肺葉内肺分画症であった.また一部胸膜が裂けており肺内に凝血塊も認められた.肺分画症は胸部X線写真などで偶然発見されることが多いが,放置すると今回のような重篤な経過をたどる可能性があるため,無症状でも手術適応があると再認識した.

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