2011 年 25 巻 7 号 p. 727-731
症例は67歳,男性.健診の胸部X線で右心陰影とのシルエットサインが陰性の腫瘤陰影を指摘された.胸部CT, MRIでは第8~10胸椎右側に接して軟部組織濃度と脂肪濃度が混在する辺縁明瞭な60×30mmの腫瘤を認めた.画像から脂肪肉腫を疑い腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は肉眼的に境界明瞭な53×38×25mmの充実性腫瘤で,病理学的には薄い線維性被膜に包まれた成熟脂肪組織に三系統の造血細胞を含む骨髄組織を島状に認め骨髄脂肪腫と診断された.縦隔に発生する骨髄脂肪腫は稀な疾患であり,自験例を含め過去20年間に報告された15例を集計し考察を加え報告する.