2011 年 25 巻 7 号 p. 732-735
症例は34歳,男性.右頚部の腫脹,疼痛を主訴に受診したところ,右頚部から胸腔内におよび上縦隔を左側に圧排する巨大な腫瘍を指摘された.生検にてsolitary fibrous tumorが疑われ,手術目的に入院となった.手術は耳鼻咽喉科と共同にて施行した.modified hemi-clamshell incisionにてアプローチし,腫瘍摘出術および右鎖骨下動脈再建術を施行した.第5,7,8頚椎椎間孔周囲の腫瘍は神経温存のため不完全切除とした.病理組織診ではdesmoid tumorと診断された.腫瘍残存部には術後放射線療法を施行し,術後1年を経過した時点で再発を認めていない.