2012 年 26 巻 6 号 p. 633-637
症例は54歳男性.検診にて胸部異常陰影を指摘されたため当院紹介となった.精査により右腕頭静脈への浸潤が疑われる縦隔腫瘍と診断し,手術を施行した.腫瘍は横隔神経を巻き込み右腕頭静脈と強く癒着していたため横隔神経は離断し,右腕頭静脈を含めて腫瘍を摘出した.病理組織学的検査では,血管内皮類似の異型細胞が血管腔を形成しCD34, von Willebrand factor(vWF)陽性,TTF-1, αSMA, S100, desminおよびcytokeratin陰性であることから類上皮血管内皮腫と診断した.本腫瘍の縦隔発生例の報告は,自験例を含めて39例と非常に稀であるため報告する.