日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
flail chestを生じた胸骨骨折に対しロッキングプレートにて良好な固定を得た緊急手術の1例
伊藤 祥隆小林 弘明滝沢 昌也高橋 充関野 陽一
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2012 年 26 巻 6 号 p. 683-687

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抄録

ロッキングプレートは骨のみならずスクリュウとも固定する新しい骨整復用の器材である.症例は37歳,女性.交通事故にて受傷し当院へ救急搬送された.前胸部右側に高度の奇異呼吸を認め,自発呼吸は不可能であった.胸部CTにて胸骨体部に横断骨折と高度な転位を,右第III~X肋骨と左第II, III肋骨に骨折と右側の血気胸を認めた.高度転位を伴う胸骨骨折,両側多発肋骨骨折,および右外傷性血気胸と診断した.胸骨および多発肋骨骨折による高度のflail chestに対して緊急手術を行った.前胸部正中皮膚切開により胸骨に達し,体部の横断骨折部で前後に転位した胸骨をワイヤ2本を用いて整復した後にロッキングプレートで固定した.また右第III, IV肋骨骨折部と左第II肋軟骨骨折部は非吸収糸にて縫合固定した.人工呼吸器での内固定を5日間行った後,バストバンドでの外固定とした.flail chestを合併する胸骨骨折高度転位症例ではロッキングプレートでの固定が有効と考えた.

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