2014 年 28 巻 1 号 p. 121-126
症例は78歳,男性,消化器癌の既往がありサーベイランスCTにて後縦隔腫瘍を指摘され当院へ紹介となった.随伴症状等無く腫瘍マーカーを含む術前検査にて異常を認めなかった.CTでは左後縦隔胸椎傍に境界明瞭な充実性腫瘍を認めた.2011年4月胸腔鏡下に摘出術(R0)を施行.病理学的検索では壊死と角化を認める腫瘍細胞が増殖しType B3胸腺腫様のリンパ球浸潤を伴っていた,免疫染色にてCD5(+)bcl-2(+)であり胸腺癌(扁平上皮癌)正岡I期と診断された.術後2年再発無く外来通院中である.本例は異所性胸腺由来の胸腺腫瘍と考えられCarcinoma showing thymus-like differentiation(CASTLE)と分類されたが,後縦隔発生例は本邦報告2例と極めて稀であった.切除可能と判断され完全切除が施行されたCASTLEの1例を報告する.