日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
原著
当院での肺非結核性抗酸菌症の外科治療
木村 秀石倉 久嗣松岡 裕松本 大資
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 28 巻 2 号 p. 144-148

詳細
抄録

当院では2008年1月から2013年の3月までに肺非結核性抗酸菌症(pNTM)12例に手術を行った.8例に肺葉切除,1例に区域切除,3例に部分切除を行った.女性の7例中5例に気管支洗浄を行い早期診断が可能であった.また,外科治療の指針に則り女性は7例全例,男性は1例に術前半年以上の治療を行った.術後経過は1例再発した以外,現在まで再発無く経過している.男性は5例中3例が肺癌との鑑別が困難であった.この3例は肺部分切除を行いpNTMと診断した.その3例中2例は術後投薬せずに経過観察中であるが再発は認めていない.肺葉切除が標準術式ではあるが,散布影のない限局した空洞症例は部分切除で対処できる可能性がある.また,pNTMは広範囲に進展すると治療は困難となるため,できるだけ病変が限局している早期に診断し,積極的に外科治療の指針に沿った手術を考慮すべきと考えた.

著者関連情報
© 2014 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top