日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
食道壁発生気管支食道嚢胞感染の1手術例
山本 恭通戸矢崎 利也小阪 真二
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2014 年 28 巻 2 号 p. 210-214

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抄録

症例は35歳男性.後縦隔腫瘤に対し超音波内視鏡下穿刺生検を行った3日後に感染兆候と腫瘤影増大を認めた.食道筋層内に発生した気管支食道嚢胞感染からの縦隔炎と診断し胸腔鏡補助右開胸で嚢胞壁切除および胸腔ドレナージを行った.嚢胞壁は食道と一体で完全切除すると広範囲の食道欠損が生じるため,また嚢胞壁の欠損部より食道粘膜を認めたため嚢胞壁の一部を遺残した.術後食道胸膜瘻を発症し抗菌剤治療,中心静脈栄養と胸腔ドレナージを併用した.術後17日ドレーンからの嚢胞内容類似の黄色ゲル状排液が停止し術後39日にドレーンを抜管した.超音波内視鏡下穿刺生検で気管支食道嚢胞内感染より縦隔炎となったが手術で救命しえた1例を経験した.嚢胞壁を遺残せざるをえず嚢胞再発の可能性があり長期にわたる経過観察を行う.

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