2014 年 28 巻 2 号 p. 221-226
背景,Alpha fetoprotein(AFP)は,原発性肝癌やyolk-sac tumorで高値を示しその診断や治療効果判定に有用な腫瘍マーカーとして確立されている.一方でAFP産生型の消化器癌および肺癌が少数ながら報告されている.症例は64歳,男性.右上葉S1に原発した肺癌(T1aN0M0,臨床病期1A)に対して,胸腔鏡補助下に上葉切除を施行した.術後4ヵ月での腹部CTにて,多発性肝腫瘤を認め,肝生検の結果,肺原発AFP産生腫瘍の肝転移と診断された.結論,術後肝転移を来したAFP産生型肺腺癌の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.