日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺原発筋上皮腫の1切除例
松本 博文佐野 功谷口 英樹
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2014 年 28 巻 5 号 p. 585-589

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抄録

症例は69歳女性.自覚症状無く胸部CTで右上葉S3に径13 mmの境界明瞭な結節影を認めた.明らかなリンパ節腫大の所見無し.術前診断では良性疾患を疑われ手術目的に当院紹介された.手術は胸腔鏡補助下右S3区域切除を施行.腫瘤の割面は白色で境界明瞭であった.術中迅速組織診で確定的な所見は得られなかったものの悪性所見は認めなかった.永久標本では肺実質内に存在する境界明瞭な腫瘍で短紡錐形細胞が密に増生し血管肉腫様パターンを呈していた.組織像のみでは確定的な診断は得られず最終的には免疫組織染色から肺原発筋上皮腫と診断された.核分裂像や脈管侵襲は明らかではなく,低悪性度腫瘍と思われた.筋上皮腫は通常唾液腺等に認められる比較的予後の良い腫瘍であるが,時に再発や遠隔転移を来たす事もある.肺原発の筋上皮腫は非常に稀でその臨床的特徴に関する報告は極めて少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.

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