2014 年 28 巻 6 号 p. 759-763
症例は72歳女性.66歳時に頸椎の後縦靭帯骨化症で手術歴がある.30年前に横隔膜挙上を指摘されていたが無症状のため放置.1年ほど前から労作時呼吸困難が出現.1週間前から急に悪化したため受診.胸部X線写真では右横隔膜が第7肋骨背側レベルの高さまで挙上.呼吸機能はVC0.98 L,%VC38.0%と著明な拘束性障害を認めた.横隔膜弛緩症と診断し完全胸腔鏡下横隔膜切除,縫縮術を施行した.弛緩した横隔膜の頂を小切開し腹腔内の癒着がないことを確認し,切開部を中心に横隔膜を鉗子に巻き取り,自動吻合器で切除した.術後の胸部X線写真では右横隔膜が第9肋骨背側レベルの高さまで低下し,呼吸困難感が消失した.術後1年経過後もVC1.64 L,%VC62.4%と呼吸機能の改善が維持されている.