抄録
症例は34歳の男性.健康診断で指摘された胸部異常陰影に対し当院呼吸器内科で精査された.胸部CTで右中葉(S4)に肺結節影が認められ,iceberg tumor growth patternを呈していた.肺野末梢の無気肺・肺炎の所見は見られなかった.気管支鏡検査では右B4aに腫瘍が確認できた.経気管支生検では平滑筋腫を疑う紡錐細胞腫瘍と診断された.画像所見から内視鏡的切除は非適応と判断し,確定診断・治療目的に当科で胸腔鏡下右中葉切除術を施行した.術後経過は良好で,病理診断で肺平滑筋腫(気管支型)と診断された.肺平滑筋腫は腫瘍局在や進展様式で治療方針が異なるが,本症例では胸腔鏡下右中葉切除術を施行し,良好な経過がえられた.