症例は71歳女性,定期検査の胸部X線写真で異常指摘され精査加療目的に紹介となった.CTにて前縦隔に6 cmの腫瘤を認め,上大静脈や右肺・心膜と境界不明瞭であった.FDG-PET/CTにてFDGの集積亢進(SUVmax:13.51)を認めた.浸潤性胸腺腫もしくは胸腺癌を疑い胸骨縦切開腫瘍摘出術,上大静脈・心膜・右肺合併切除術を施行した.腫瘍は白色充実性腫瘍で,病理組織学的に胸腺原発大細胞神経内分泌癌(LCNEC)と診断された.術後12ヵ月で縦隔リンパ節再発と多発肝転移を認め,CBDCA+VP-16療法を4クール施行し,縮小傾向認めたが,新たに多発骨転移を認めた.極めて稀な胸腺原発LCNECの1切除例を経験したので報告する.