日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
Mycobacterium abscessus肺感染症による続発性気胸の1手術例
西川 敏雄高橋 正彦森 雅信上川 康明井上 文之
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 29 巻 1 号 p. 84-88

詳細
抄録

症例は71歳,女性.気管支拡張症及び非結核性抗酸菌症にて加療されており,左肺S6に空洞を伴う結節を認めていた.2013年6月発熱及び左胸痛にて受診,著明な炎症反応と左気胸を認めた.胸腔ドレナージ後のCT検査では左肺S6の結節に気管支瘻を疑う所見を認めた.その後も気漏及び発熱が持続し手術を施行した.左肺S6の結節部に瘻孔及び同部位よりの気漏を認めたため,S6区域切除術を施行した.切除標本の病理検査では壊死を伴う大小の結節が存在し,周囲には類上皮巨細胞やラ氏型の巨細胞を認めた.術前,術中の胸水の培養検査にてMycobacterium abscessusが検出され,これによる肺感染症に気胸を合併したものと診断した.非結核性抗酸菌症による続発性気胸に対しては早期に手術を中心とする積極的な治療を行うことが重要であると考えられた.

著者関連情報
© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top