2015 年 29 巻 7 号 p. 875-879
妊娠中に発症した自然気胸患者の手術症例を2例経験したので報告する.症例1は28歳,女性.自然妊娠成立6ヵ月前と妊娠8週に左気胸を発症し,いずれも胸腔ドレナージにて軽快した.しかし,妊娠11週に左気胸が再々発し,4週間以上の遷延性肺瘻を認めたため,妊娠16週で胸腔鏡下肺部分切除術を行った.術後経過は良好で,妊娠満期で健児を出産した.症例2は21歳,女性.妊娠20週で右気胸の診断.胸腔ドレナージにて改善.妊娠24週で右気胸再発.再度胸腔ドレナージが行われたが,気漏が続くため,手術目的に入院となった.周術期は産婦人科,麻酔科の連携のもと,妊娠25週で胸腔鏡下肺部分切除術を行った.術後経過は良好で,妊娠満期で健児を出産した.妊娠中の気胸は稀ではあるが,一旦発症すると妊産婦の換気学的素因にて再発を来しやすいため,妊娠週数を考慮した手術適応のもと通常通りの胸腔鏡下手術が可能と考えられた.