日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
後縦隔に発生した巨大脂肪肉腫の1切除例
芳野 充椎名 裕樹斎藤 幸雄
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2015 年 29 巻 7 号 p. 884-889

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抄録

症例は65歳,女性.咳嗽・発熱で近医を受診し,胸部X線で異常を指摘され当院紹介受診.胸部CT, MRIにて左胸腔に表面平滑で境界明瞭,内部に充実成分と脂肪成分の混在する分葉状の巨大腫瘍を認めた.経皮針生検にて確定診断に至らなかったが,間葉系腫瘍を疑い手術を施行した.腫瘍は横隔膜,胸壁とは癒着を認めず,縦隔胸膜および肺底部臓側胸膜に覆われており,後縦隔から発生したものと考えられた.腫瘍は下肺静脈周囲で肺下葉内へ進展しており,腫瘍摘出および下葉切除を施行した.腫瘍の重量は1580 gで病理診断は高分化型脂肪肉腫であった.術後追加治療は行わずに慎重に経過観察中である.脂肪肉腫は四肢の軟部組織や後腹膜にしばしば発生するが,縦隔原発例は稀である.後縦隔原発巨大脂肪肉腫の1例を経験したので報告する.

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