2015 年 29 巻 7 号 p. 906-911
良性転移性肺平滑筋腫は比較的稀な疾患である.しかしその中に子宮平滑筋肉腫の肺転移が含まれる事がある.当科で経験した子宮平滑筋由来腫瘍肺転移例を検討した.症例1は69歳女性,人間ドックで子宮筋腫と単発肺結節を指摘された.肺葉切除を行い肺平滑筋腫と診断.エストロゲン受容体(ER)陽性,プロゲステロン受容体(PgR)陽性で,術後3年間新病変を認めない.症例2は子宮筋腫手術歴のある48歳女性,検診で多発肺結節を指摘された.肺部分切除を行い病理学的に平滑筋肉腫と診断されたがKi67低発現,ER, PgR強陽性であった.化学療法施行し術後9年生存中である.症例3は子宮筋腫手術歴のある77歳女性,白内障手術時に多発肺結節を指摘された.肺部分切除を行い肺平滑筋腫と診断されER, PgRは陰性であった.術後10年目に右上葉の病巣が急速に増大.気管支鏡検査で平滑筋肉腫と診断され術後11年目に原病死した.