2015 年 29 巻 7 号 p. 912-915
前縦隔腫瘍に対して,昨今,胸腔鏡下に切除されることが多くなっている.胸腔鏡下手術は低侵襲かつ美容的に優れている反面,出血をきたした際は,止血に苦慮し危機的な状況に陥る可能性がある.近年,心臓外科領域では胸骨切開を行わず肋間小開胸のみで行う低侵襲小切開心臓手術(MICS)が様々な疾患に対し行われている.MICSの体位での前縦隔腫瘍切除術はCO2送気を加えることで良好な視野が得られるだけでなく,必要時には仰臥位へ即座に移行可能であるため,有用かつ安全な術式である.