日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
3種の異なる組織型からなる4病変に対して切除を行った多発肺癌の1例
桧垣 直純中根 茂
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2016 年 30 巻 5 号 p. 568-572

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抄録

症例は75歳,女性.胸部異常陰影を指摘され,胸部CTで右上葉に境界明瞭な一部空洞を伴う3 cm大の腫瘤影を認めた.気管支鏡下生検で確定診断後,手術(初回:右上葉切除術)を施行し,病理学的に乳頭型腺癌(pT2aN0M0,Stage IB)と診断された.初回手術術後2年11ヵ月後に左S8に結節影が出現し徐々に増大,同時に左S1+2にも増大傾向の小結節を認めた.肺内転移と考えたが,組織学的診断のため,初回手術術後3年7ヵ月後に手術(2回目:左下葉S8および左上葉S1+2部分切除術)を施行した.病理学的に,左下葉S8は肺内転移を伴う小細胞癌,左上葉S1+2は扁平上皮癌であった.さらに,初回手術術後4年4ヵ月後には右下葉に出現した結節に対して手術(3回目:右下葉S6部分切除術)を施行し,病理学的に扁平上皮癌で,臨床的に第4癌と考えた.最終手術術後2年2ヵ月の時点で再発を認めていない.

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