日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺癌に合併したサルコイド反応によるリンパ節腫大の3例
伏見 卓郎宮本 耕吉川井 治之能勢 聡一郎片岡 正文
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2016 年 30 巻 5 号 p. 633-638

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抄録

悪性腫瘍にサルコイド反応によるリンパ節腫大を認めることがあり,転移・再発との鑑別を要する.肺癌に合併したサルコイド反応の3例について報告する.症例1は65歳男性.右下葉S9のすりガラス陰影と縦隔リンパ節腫大を認め,右下葉切除術施行.症例2は68歳女性.右上葉S3のすりガラス陰影と縦隔リンパ節腫大を認め,右上葉切除術施行.症例1・2ともに高分化腺癌(T1aN0M0)で縦隔リンパ節に類上皮肉芽腫を認めた.症例3は51歳男性.右上葉S2の低分化扁平上皮癌(T3N0M0)術後経過観察中に縦隔リンパ節腫大を認めた.右鎖骨上窩リンパ節生検により類上皮肉芽腫を認めた.3例ともサルコイドーシスを示唆する他臓器病変や結核などの感染症を認めずサルコイド反応と考えた.悪性腫瘍にサルコイド反応によるリンパ節腫大を認める場合がある.転移・再発との鑑別のために組織診断を行うことが望ましい.

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