2016 年 30 巻 7 号 p. 806-810
2007年4月から2015年12月までに当院で経験した特発性血気胸14例について検討した.全例で胸腔鏡下に手術を行った.出血部位は全例で肺尖部壁側胸膜の血管を含む索状物からであり,1例は奇静脈近傍の縦隔胸膜の索状物からの出血も認めた.総出血量は平均1,072 mL(300-2,050 mL),2例に輸血を要し,1例はショック症状を呈した.すべての症例で術後3日目までに胸腔ドレーンを抜去し,術後平均在院日数は3.9日(2-7日)であった.特発性血気胸は大量出血によりショック状態を来たすこともある緊急性の高い疾患であるが,他科が初期対応した場合,5例が24時間を過ぎてからの手術になっており,早期手術の必要性を呼吸器外科医が熟知するだけではなく,内科医,救急医などへの啓発も必要である.また,手術の際は出血部位が一ヵ所とは限らないため,胸腔内の詳細な観察が重要である.