2017 年 31 巻 1 号 p. 122-126
非術後性乳び胸は病態が複雑で治療に難渋することが多い.腹水を伴う肝硬変に併発した難治性乳び胸を逆行性経静脈的アプローチによる胸管塞栓術で治療した.症例は60歳代の男性.絶食期間と2回の胸膜癒着療法を経ても乳び胸水の流出が続いた.鼡径部穿刺による経リンパ節リンパ管造影法により右胸腔内へのリンパ漏の部位診断を行った後に逆行性静脈アプローチによる胸管塞栓術を行い乳び瘻の速やかな停止を得た.近年のIVR(interventional radiology)手技による乳び瘻治療法は低侵襲であり非術後性乳び胸はもとより術後性乳び胸においても有用な治療選択肢たり得ると思われた.