日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
鈍的胸部外傷後4日目に発症した急性心タンポナーデの1例
松本 真介梅田 幸生森 義雄滝谷 博志
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2017 年 31 巻 1 号 p. 20-26

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抄録

鈍的胸部外傷後,遅発性に急性心タンポナーデを発症し,術後に心膜切開後症候群による心膜炎を合併した1例を経験したので報告する.症例は34歳の男性.80 cmの高さからの転倒による多発肋骨骨折,軽度の血気胸と診断しドレナージされた.受傷から4日目に血気胸の悪化がないことを確認してドレーンを抜去したところ,同日夜に心タンポナーデと血胸を発症した.緊急で開胸手術を行い,骨折した肋骨による心囊・心外膜の損傷と診断して修復した.術後23日目に心膜切開後症候群を合併したため,再度開胸して心囊を開窓した.術後に消炎鎮痛剤の投与により炎症は軽快した.非常にまれではあるが本症例のような経過を辿ることがあるため,胸部外傷後の経過観察は慎重に行うべきである.また心膜切開後の合併症を念頭に置いて診療する必要がある.

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