日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
脊椎浸潤を伴う進行肺癌を疑い生検術を施行した化膿性脊椎炎の1例
渡 正伸熊田 高志井上 聡
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2017 年 31 巻 1 号 p. 63-68

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抄録

症例は胸痛を主訴に受診した42才の男性.胸部CTで右肺S6胸膜下に結節を認め隣接する胸椎に骨破壊像があり,骨浸潤を伴う進行肺癌を疑い胸腔鏡下針生検術を施行した.悪性像は認められず確定診断が得られなかった.その後,十分な検体による生検診断が必要であると判断し,後側方切開下に肺結節と癒着する傍脊柱組織を一塊として切除した.病理組織学的診断では膿瘍形成を認めるが悪性像は無く,膿瘍から黄色ブドウ球菌が検出され,化膿性脊椎炎と診断された.脊椎浸潤する肺癌を疑う場合は,化膿性脊椎炎は鑑別診断として常に念頭に置くべき重要な疾患と考えられた.

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