2006年から2015年までに当科で経験した胸腺癌手術症例14例の術後成績を後方視的に検討した．男性9例，女性5例．平均年齢は61.9歳．組織型は扁平上皮癌11例，定型的カルチノイド，大細胞神経内分泌癌と腺癌が各々1例．正岡分類ではI/II/III/IVa/IVb期が各々2/3/5/1/3例，完全切除し得た症例は12例．隣接臓器合併切除を要した症例は9例（64.3%）．手術関連死亡例はなかった．3年無再発生存率（DFS）は38.3%．3年生存率（OS）は61.4%．正岡I/II期症例ではIII/IV期に比較して手術時間は短く（p=0.016），術中出血は少なかった（p=0.006）．DFSは前者で良好な傾向がみられた（p=0.053）．正岡分類III/IV期に関しては予後改善を見据えた集学的治療法の確立が望まれる．
