症例は66歳男性.S状結腸癌術後1年目のCTで右下葉S9に18 mmの結節を指摘され,右下葉肺癌(c-T1aN0M0,Stage IA)の診断で手術を施行した.術前3D-CTで右主気管支背側を通り,対側上肺静脈根部に流入するV2の走行異常を認めた.手術は胸腔鏡下右下葉切除及びリンパ節郭清を施行した.気管分岐部リンパ節郭清の際はV2をテーピングし,走行に十分注意した上で行った.気管支背側を走行するV2の走行異常は比較的稀である.今回,対側上肺静脈に流入するV2を認めた肺癌に対し,術前3D-CTを用いて血管と気管支との関係を立体的に把握したことで,安全に手術を施行した症例を経験した.