日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
経気管支肺生検後の大量喀血で緊急肺切除を要した肺粘表皮癌の一例
木村 賢二木村 亨舟木 壮一郎楠本 英則新谷 康奥村 明之進
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2017 年 31 巻 2 号 p. 175-180

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抄録

経気管支鏡検査施行後の腫瘍出血に対して,緊急で左上葉切除術を施行し救命しえた一例を経験したので報告する.症例は83歳の男性.胸苦しさの症状精査で指摘された左上葉腫瘤に対し経気管支肺生検を施行した.検査後6日目に喀血を来し,胸部Xpで左全体の無気肺を認めた.腫瘍出血が疑われ,気道閉塞や対側肺への血液流入の危険性を考慮し,緊急で左上葉切除を行った.残存肺へ流入した血液を気管支断端より吸引するために,肺切除時は自動縫合器を用いずに上葉気管支を切離し,断端から気管支内の血餅を除去した.術後は血餅除去や排痰管理のため気管切開術を要したが,術後31日目に軽快退院となった.術後病理検査結果は,組織型は肺粘表皮癌で,pT2aN0M0,pStage IBの診断であった.

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