日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
同側他肺葉に肺非結核性抗酸菌症による肉芽腫を合併した原発性肺癌根治切除の1例
都島 由紀雄川上 英之石森 章太郎宍倉 有里
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2017 年 31 巻 2 号 p. 227-232

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抄録

近年,胸部薄切CTの普及と共に肺内多発結節の指摘が増加,多発肺癌症例の報告も多い.一方で薄切CT所見でも悪性と良性結節の鑑別が困難な症例もある.症例は69歳,女性.肺癌検診で胸部単純X線所見上,異常陰影を指摘されて当院へ紹介となった.薄切CT所見上,右肺上葉にスピクラと撒布影を伴うsolid nodule,右肺下葉にpart-solid ground glass noduleを認めた.原発性多発肺癌を疑い,胸腔鏡下生検の方針とした.術中迅速病理診断で右肺上葉の結節は肉芽腫(抗酸菌症疑い),下葉の結節は肺腺癌と報告を得たため,右肺下葉肺癌に対して下葉切除ND2a-1を施行した.術中迅速病理診断によって,同側他葉に存在した2つの肺内結節に対して,適切な治療方針を決定した肺癌根治切除例を経験した.肺非結核性抗酸菌症を合併する肺癌に関して文献的考察を加えて報告する.

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