2017 年 31 巻 4 号 p. 453-457
患者は35歳女性.切迫早産管理中の妊娠29週に右原発性自然気胸を発症した.胸腔ドレナージを施行し入院,翌日には気漏は停止して肺の再膨張を見たが,入院4日目に大量の気漏が出現した.胸部レントゲンでは肺の虚脱を認めた.産科では切迫早産の症状は落ち着いていると判断されており,ドレーン留置の長期化が予想されたため,手術の方針となった.入院7日目に胎児心拍数監視下に胸腔鏡下ブラ切除術を施行した.術中,母体・胎児共に特に問題は認めなかった.その後の経過は良好で,術後4日目に胸腔ドレーンを抜去し,翌日,切迫早産の管理のため産科病棟へ転棟した.以降気胸の再発なく,妊娠39週に自然分娩で健児を出産した.妊娠中の自然気胸では,治療による母体と胎児への影響を配慮しつつも,時機を失せず手術を検討することも必要と思われた.