日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺過誤腫に対し核出術を施行した1例―Chemical shift MRIの有用性について―
德永 拓也横枕 直哉上村 豪内匠 浩二中村 好宏佐藤 雅美
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2017 年 31 巻 4 号 p. 506-510

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抄録

Chemical shift MRI(CSM)とは脂肪成分を鋭敏に捉えることができるMRI撮影法であり,副腎腺腫などの診断に活用されている.画像診断的には肺内結節において内部の脂肪成分の存在は肺過誤腫に特徴的な所見とされている.

症例は66歳男性.検診で胸部異常陰影を指摘され,良性腫瘍の診断で経過観察となっていた.6年後に腫瘍の増大を認めたため当科で手術の方針となった.術前のCSMで,腫瘍内部の脂肪成分を指摘し肺過誤腫を非常に強く疑い,肺組織温存のため腫瘍核出術を施行した.

本症例においてCSMは肺過誤腫診断に有用なMRI撮影法であった.今後,その有用性が示されれば,外科的切除の際に核出術といった肺組織温存のための縮小手術を施行することが可能となる.

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