日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺原発髄膜腫の一切除例
橋本 章太郎西岡 祐希森本 真人良河 光一
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2017 年 31 巻 4 号 p. 517-521

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抄録

症例は68歳,男性.検診の胸部X線にて左肺結節影を指摘され当院へ紹介された.胸部CTで左S9外側に境界明瞭な12×10 mm大の類円形腫瘤を認めた.肺過誤腫の臨床診断にて約1年のフォローアップがなされ,緩除な増大傾向を示したため,診断と治療を兼ねた切除を行った.手術は3ポート完全鏡視下に部分切除を行った.術後は特に問題なく経過し,術後第5病日に退院した.組織学的には類円形の核と淡好酸性の豊かな胞体を持つ腫瘍細胞が,胞巣状構造,あるいは渦巻き状構造を形成し,周囲圧排性に増殖する像を認め,免疫染色では,EMA陰性,vimentin陽性,CD34陰性,S-100陰性であったことから髄膜腫と診断された.術後に頭部および脊髄MRIを施行したが明らかな腫瘍性病変は指摘しえず,肺原発髄膜腫であると結論した.肺原発髄膜腫は極めて稀な疾患であり,その発生由来については結論が出ていない.文献的考察を加えて報告する.

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