2017 年 31 巻 4 号 p. 522-527
症例は38歳女性.散歩中に突然左胸痛が出現し近医に緊急搬送となった.胸部X線・CTで左胸腔2/3を占める胸水を認めたため左胸腔ドレーンを挿入したところ血胸であった.造影CTで左肺動静脈奇形の破裂が疑われた.出血の持続が疑われたため,翌日当院転院搬送となり緊急手術を施行した.左肺S5の末梢に約2.5 cmの赤黒い血管様病変を認め胸腔鏡下に病変部含めS5の部分切除を行った.組織学的に左肺動静脈奇形と診断された.肺動静脈奇形の破裂は比較的稀であるが,胸膜に接している肺動静脈奇形の場合は破裂の可能性を念頭に置いたうえで積極的な治療を考慮する必要がある.