日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
外耳道癌術後肺転移巣に対する外科切除の1例
都島 由紀雄鎌田 信悦宍倉 有里
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2017 年 31 巻 4 号 p. 528-533

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抄録

患者は46歳,女性.2013年8月,他院で右外耳道癌と診断され,サイバーナイフ治療が施行された.2014年1月,腫瘍残存のため,当院頭頸部外科を受診し,右側頭骨亜全摘・頸部郭清術を施行した.同年11月,右頸部に腫瘤が出現し,局所再発の診断で腫瘍を切除した.2015年5月,右中内深頸領域に腫瘍が出現し,局所再々発の診断で腫瘍切除術を施行した.同年12月,右肺下葉に結節が出現し,転移性肺腫瘍疑いの診断で右肺下葉楔状切除術を施行した.病理診断は外耳道癌肺転移が最も考えられた.初回治療から38ヵ月,肺転移巣切除から12ヵ月の時点で再発・転移を認めていない.外耳道癌は極めて稀な疾患であるが,他の頭頸部癌と同様に肺転移巣切除が予後を改善する可能性があるため,肺転移巣に対しても手術適応はあり,術式は切除断端を安全に確保した楔状切除が妥当であると考えられた.

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