2017 年 31 巻 5 号 p. 568-572
フィブリン糊は肺瘻修復に最も汎用され,ポリグリコール酸(PGA)と併用されることも多いがPGAを単独で貼付する報告は少ない.我々は2001年1月から2012年12月までに肺葉切除を施行した症例を調査し,PGA単独貼付の治療成績を明らかにした.199例でフィブリン糊を用いずにPGAを使用していた.PGA不使用の389例と比較して術後ドレーン留置期間は有意に長かった(4.37日vs. 3.08日,p<0.05).PGA使用の肺瘻治療目的群では閉塞性肺障害症例で留置期間が長い傾向にあり,遷延する肺瘻は有意に多く(34% vs. 16.2%,p=0.01),閉塞性肺障害症例においてはPGA単独使用は不十分でフィブリン糊の併用が望ましい.一方肺瘻予防目的群での術後ドレーン留置期間は平均2.9日であり,肺瘻予防目的ではPGA単独貼付はオプションとなりうる可能性が示唆された.