2017 年 31 巻 6 号 p. 778-783
症例は60歳男性.胸部異常陰影を指摘され当科を受診した.胸部CTで右上葉S1中層に辺縁分葉状,境界明瞭な18 mm大の肺結節を認めた.結節内部には石灰化を認めないものの,一部脂肪含有を疑う低吸収域を認めた.肺過誤腫などの良性腫瘍が疑われたが,経年的に増大傾向を示しており外科的切除の方針とした.術前3 dimensional computed tomography(3D-CT)で右V1およびV2が右中間気管支幹の背側を走行し,左心房に還流するRight top pulmonary veinの所見を認めた.完全鏡視下に右S1区域切除術を施行し,術中迅速診断で肺過誤腫の診断を得た.肺静脈の走行異常を術前に把握し,安全に区域切除術を施行し得た症例を経験したので報告する.