日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
内臓錯位症候群を伴う原発性肺癌の1切除例
栃井 祥子須田 隆河合 宏金田 真吏栃井 大輔星川 康
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2017 年 31 巻 7 号 p. 847-852

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抄録

症例は59歳の男性.健診で胸部異常陰影を指摘され,原発性肺癌の疑いで当院紹介となった.胸部X線写真上,右胸心と左中肺野に径3.0×2.5 cmの腫瘤影を認めた.胸腹部CTでは,両肺とも2分葉で,気管支と肺動脈の形態は左右反転していた.また,右側大動脈弓,右胸心,上大静脈遺残,多脾症,対称肝,上腸間膜回転異常および膵尾部低形成を認めた.内臓錯位症例に発症した左中葉肺癌c-T2aN0M0 stageIBと診断した.3D-CTを含む画像により解剖学的位置関係を十分に評価した上で,胸腔鏡下左肺中葉切除術+リンパ節郭清を施行した.しかし,術中に左反回神経を同定できず,一部の縦隔リンパ節はサンプリングに留めた.

内臓錯位症候群は,血管・気管支走行異常や合併奇形を認めることが多いため,総合的に術式決定することが重要であり,3D-CTを含む十分な術前精査を行っておくことが肝要である.

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