日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺原発滑膜肉腫の完全胸腔鏡下による1切除例
古屋敷 剛須田 一晴近藤 晴彦呉屋 朝幸
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2017 年 31 巻 7 号 p. 859-863

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抄録

症例は53歳女性.検診でレントゲン異常を指摘され当施設へ紹介となった.胸部CTにて左上区に周囲肺血管や気管支を圧排する5.6 cm×3.2 cmの辺縁平滑な腫瘍を認めた.診断治療目的にて手術方針となり術中診断にて肉腫疑いの診断のため肺癌に準じ胸腔鏡下左上葉切除を施行した.組織学的所見では肺組織内に紡錘形腫瘍細胞が錯綜する像を認め,免疫染色ではEMAやki67が陽性を示した.SYT-FISH検査にて腫瘍細胞にSYT転座融合を認める分離シグナルをみとめ二相型滑膜肉腫と診断された.滑膜肉腫Synovial sarcomaは本来,四肢の関節などに発生する軟部組織腫瘍で,肺原発切除報告例は非常に稀である.

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