日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
難治性出血を合併した外傷性肺囊胞の1例
大隈 宏通田中 雄悟内田 孝宏小川 裕行法華 大助眞庭 謙昌
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2017 年 31 巻 7 号 p. 885-889

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抄録

症例は43歳男性.原動機付自転車で走行中に自動車と衝突事故をおこし,当院救命救急科に搬送された.胸部CTにて左多発肋骨骨折,左血気胸,左下葉内に巨大肺囊胞を認めた.リザーバー付酸素マスク流量15 L/minで酸素投与も呼吸状態が保てなかったため挿管の上,人工呼吸器管理となった.入院2日目に気道内に出血を認め,経気道的に出血が疑われる左B6にトロンビン散布を行い一旦止血し得たが,翌日には再出血を認めた.再度トロンビン散布を試みたが止血できないため,当科紹介後に左下葉切除術を施行した.術後経過は良好であった.外傷性肺囊胞は胸部外傷に合併する肺内空洞性病変である.治療方針は保存的加療が基本だが,難治性出血,肺膿瘍,持続する肺漏を併発した症例に対しては手術適応となる.難治性出血を伴う本疾患は外科的治療を念頭に置いた診療が必要である.

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