日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
抗凝固療法中にもかかわらず,左下葉切除後の肺静脈断端から左房内に広範な血栓を形成した一例
佐々木 高信稲福 斉照屋 孝夫國吉 幸男
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2017 年 31 巻 7 号 p. 911-915

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抄録

抗凝固療法中にもかかわらず,左下葉切除後に肺静脈断端から左房内に無症候性に広範な血栓を形成した症例を報告する.患者は67歳,女性.弁膜症術後にてwarfarin内服あり.子宮頸癌と肺癌の重複癌にて当院へ紹介された.進行度を考慮し,肺癌手術を先行した.胸腔鏡補助下左下葉切除(ND2a-2)を施行(pT1bN2M0),術後特に合併症を認めず退院となった.子宮頸癌治療開始前の胸腹部造影CTにて左下肺静脈断端から左房内に広範な血栓を認めた(塞栓症状は伴わず).直ちにheparinの持続静注を開始し,以降徐々に血栓の溶解をみた.左上葉切除後の上肺静脈断端の血栓形成については広く知られるところであるが,下葉切除後の広範な血栓形成は国内・国外問わず報告は少ない.非常に稀と考え,報告する.

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