日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
左肺全摘術と右主肺動脈再建にて完全切除した左主肺動脈血管肉腫の1手術例
北原 哲彦清水 勇希後藤 達哉佐藤 征二郎小池 輝元土田 正則
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2018 年 32 巻 4 号 p. 492-499

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抄録

症例は64歳女性.子宮体癌の破裂により当院を受診した.緊急で子宮切除が行われたが,その際のCTで深部静脈血栓と右肺動脈血栓,左肺動脈内の塞栓子を認めた.子宮体癌術後下大静脈フィルターと抗凝固薬にて治療が行われた.抗凝固療法により右肺動脈内の血栓は消失したが,左肺動脈の塞栓子は消失しなかった.その後塞栓子は徐々に増大を認めた.PET/CTでは同病変に集積を認め,心臓カテーテル検査での腫瘍生検により血管肉腫と診断された.胸骨正中切開で体外循環を併用し,左主肺動脈切除と左肺全摘,右主肺動脈再建を行った.病理では血管内膜由来の肉腫であることが判明した.術後8ヵ月目に再発を認め,9ヵ月後に肺炎による呼吸不全で死亡した.肺動脈肉腫は稀な疾患であり,文献的考察を加え報告する.

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