症例は64歳女性.子宮体癌の破裂により当院を受診した.緊急で子宮切除が行われたが,その際のCTで深部静脈血栓と右肺動脈血栓,左肺動脈内の塞栓子を認めた.子宮体癌術後下大静脈フィルターと抗凝固薬にて治療が行われた.抗凝固療法により右肺動脈内の血栓は消失したが,左肺動脈の塞栓子は消失しなかった.その後塞栓子は徐々に増大を認めた.PET/CTでは同病変に集積を認め,心臓カテーテル検査での腫瘍生検により血管肉腫と診断された.胸骨正中切開で体外循環を併用し,左主肺動脈切除と左肺全摘,右主肺動脈再建を行った.病理では血管内膜由来の肉腫であることが判明した.術後8ヵ月目に再発を認め,9ヵ月後に肺炎による呼吸不全で死亡した.肺動脈肉腫は稀な疾患であり,文献的考察を加え報告する.